それでも走るか? 403 仲間や家族へのいたわりと自己犠牲
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【『アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場』】
2019年公開のフィンランドの映画。
奇をてらった演出はなく、ヒーローは出てきませんが、すごくリアルな映画でした。
黒と白基調でモノトーンの戦場と、休暇で戻った自宅風景の色あいは対照的です。
そして、音。
音で恐怖を、上手に表現しています。
銃弾の飛び交う音。
響く金属音だけで、当たったときの肉片が飛び散るイメージまで浮かびます。
“修羅場をくぐる”という表現がぴったりの状況。
弾に当たらないのは、単なる運だのだと思い知らされます。
遠くから近づいてくるにつれ、次第に大きくなるキャタピラの音。
圧倒的な火力差を思い知らされ、苦戦を強いられる予兆の音。
「相手は、人ではなく敵である」という理屈で引き金をひき続ける。
住み慣れた土地を取り返すため、家族を守り日常を取り戻すための戦い。
迫撃砲弾の雨の中、パニックになり塹壕から飛び出した新参兵を、危険を顧みず連れ戻そうとしたり、負傷した仲間を背負い、自ら銃弾を受けながらも助けることを諦めない、思いやりの心。
そして、被弾し苦しみながら横たわる仲間の傍らに、さりげなく小銃を置き去るのも、思いやりなんですね。
仲間や家族へのいたわりと自己犠牲。
助けるために、命を張る。
戦闘は淡々と続き、押され気味の戦局。
防衛ラインの死守を命ぜられ、圧倒的な火力差を見せつけられ、次第に希望を失っていく。
彼らは、ただ、普通の生活をしたいだけ、取り戻したいだけ。
ただそれだけのために、命を張って戦っています。
映画を見終えて、今の自分を考えてみる・・・
たくさんの不安や不満を抱えて過ごしていますが、命のやり取りをするほどではありません。
自分の幸せさに改めて気付かされる、よい薬になりました。