【『諦める力』という本】
刺激的なタイトルですが、中身も非常に刺激的でした。
著者は元陸上競技選手の為末大さん。
冒頭の内容を一部ご紹介します。
「諦める」という言葉の語源は「明らめる」
仏教では、心理や道理を明らかにしてよく見極める、という意味で使われ、ポジティブなイメージをもつ言葉として扱われているそうです。
手段を諦めることと目的を諦めることの違い
著者は、100m走から400mリレーに転向しました。
レースに勝つことが“目的”。
勝てる見込みのない100m走を諦めての転向ですが、種目を変えることはレースに勝つ“手段”を変えたということ。
自分には不向きだということが「明らかになった」という解釈です。
「ここまでやったんだから」「ここで辞めたら今までが無駄になる」と考えがちですが、間違った手段を取り続けること自体が“無駄”。
自分はどのようになりたいのか、そのためにはどうすれば良いのか、を考え見極める事が大切なのかもしれません。
「自分は大器晩成かもしれない」という思い込みは、無駄な努力を続けるきっかけを作っているのかもしれません。
世の中には、自分の努力次第で手の届く範囲がある
裏を返すと、どれだけ努力しても、手の届かないことはいくらでもあるということ。
成功者に憧れるのは自由ですが、自分の身の程を知らず、闇雲に努力しても徒労に終わるだけ。
筆者は、“「自分の憧れが成功を阻害する」可能性をドライに認識すべき”と記しています。
・・・という感じで、続きます。
<ひととおり読んだ感想>
全編に渡り冷静でドライ、無駄のないストレートさを感じました。
哲学書のよう。
自分の人生を振り返り、痛みを覚えることもしばしば。
“そのとおりだと思うけど、ちょっとキツくね?”というのが、正直な感想。
10代で、遅くとも25歳くらいまでに読んでおきたかった、と思ってしまう本でした。
次は、続編として出ている『逃げる自由』を読んでみようと思います。
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